リリー

 今回は まだ僕が 大人の遊びに夢中だった頃の事を書きます。

 あれは いまから5 6年前、まだ和歌山県に「八光ミュージック」っていう ストリップ劇場が あった頃の話。

 或る夏の暑い日、僕は まるで 夜中にコンビ二の紫外線灯に群がる蛾のごとく ピンク色のネオンが ぐるぐると回る その場所へ足を踏み入れていた。

 入り口の 入場券売り場で 3000円を払うと 窓口の 893な オッサンは 慣れた手付きで チケットの左端をちぎり 僕に手渡す

 僕は ありがとうの意味を 込めて頭のなかで3回 昔母親に教えられた ある事を思い出す

 
 まもなく 開演の時間なのに 人は少なかった

 そりゃそうだ 今日は平日で会社をさっぼって ストりップなんて観に来ているやつが そうそういるわけがなかった

 でも逆に 人が少ないと ストリップ劇場の最大のメインサービスである オサワリタイムが長くなって僕はうれしいんだけどね

 まあ それはよしとして 話を戻すと ストリップ劇場というのは だいたい1公演2時間で その間に ダンサーが 5回変わるんだけど、そのうち2回は必ず外人ダンサーということになっている。〔このルールは劇場によって異なるので 他の劇場が同じルールなのかは知らない〕

 そして外人ダンサーが踊り終えた後は必ず おさわりショータイム・ポラロイド撮影タイムが発生し、かなり熱い

 
 僕は その日も このおさわりタイムに全てをかけていて、最初の踊り子が踊り終わる時間を 時計を見ながらいまか いまか と手ぐすを引いていました。


 そして さあ いよいよ おさわりタイム

 僕の 席は ステージの ど真中

 この日の僕は何かが違ってました

 ステージの端の席から順番に ステージの近くに行き
踊り子さんから おしぼりをもらって手を拭くと 触らせてくれます

 ただ‥     時間が非常に短い〔悔〕

 なので ほとんどの お客さんは 30秒とか 長くて1分程度で オサワリタイムが終了してしまうのですが


  この日の僕は 何かが違ってました


  な・なんと その日は 約3分くらい 触らせてもらえたのです


 おかげで 周囲の おっさんどもが 口々に

 長いぞ、にーちゃん   とか

 もう ええやろ   ええ加減にせんかい  とか  

 耳に入ってきます


 だって外人さんが 僕のことを離してくれないんだもん


 僕のせいじゃないよ


 と まあ その日は楽しい時間を過ごせたわけですが
これで お楽しみが 終わったわけでは ありません

 いや これからが 始まりなのです


 オサワリタイムが終わると すぐに次のステージが始まるわけですが、オサワリタイムが終わった後の外人が控え室で休憩するわけでは なくて 通称ピンクルームと呼ばれる個室?に移動するのです。


 もう少し説明を付け加えると ピンクルームとは 会場の一番端のほうに 簡易べッドみたいなのを設けて
上からワイヤーで カーテンを吊るしただけの質素な建物なのです


 そのなかで ステージを終えた外人さんが 待機していて お金を払うと あれやこれやの サービスをしてくれるわけです


 いやー、出稼ぎに来ている外人さんも 祖国の家族に仕送りしなくちゃならないから大変です。

 
 そして その日も いつものように ピンクルームに足を運びました

 そして りップサービスを受けて 気持ちよくなっていたら外人さんが 

   「これ やらないか 気持ちいいよ」  

 と片言の日本語と 例の親指を人差し指と中指の間から出して 誘います

 相場は1マン円なり

 万年金欠病の僕には大金です


 でも やはり その日の僕は何かが違っていました

 財布のなかに 1マン5千円くらい入ってます


 この お金は多分 前に友人と ソープに行ったときに
金を貸して、この前返してくれたのを そのまま財布に入れていたのでしょう


 ありがとうな、佐古くん。  郵便受けに 金入れといてくれて


 でもな 佐古くん。 君は 人として何かが間違ってるぞ、うん 間違ってる


 当然 この友人とは その後すぐに縁を切りましたが‥

 話戻します。 

 足りる やれる 

 そう思いました

 そして外人さんに 1マン円を渡すと 彼女は一言

 「ありがとね、しゃちょさん」

 と言い 仰向けになり 僕のイチモツを受け入れてくれました


 僕は夢中になって腰を振っていたのですが、あることのせいで全然行為に集中出来ませんでした


 あることとは 何か?


 正解は‥

 
 な・なんと彼女の家族の写真が あるじゃないですか


 しかも家族全員で写っていて 全員白い歯を出して笑ってます

 しかも全員美形で まるで ビバリーヒルズ・コップに出てくるような幸せを絵に書いたような家族です。


 正直 個室に家族写真とか置くの ヤメテくれませんか、リリー