メガザル(始まり)
今、ネカフェにいます。
僕が どうして こんなところにいるのかは、 後後話すつもりなんだけど、とりあえず僕が象牙の塔にログイン出来なかった一週間の間に 僕の身に何が起こったのかを話すね。
今から一週間前、そう最後のログインしたのが金曜日の深夜2時頃かな、その後 僕は例のごとく、海外のWALZサイトで レアファイルが落ちてないか物色していたんだ。
僕 英語はあんまり得意じゃないし、中学 高校程度の英語力なので、文の意味を理解するのは無理で、せいぜい よく見知った英単語の意味をなんとか理解出来る程度。
だもんで、海外サイトを サーフィンするときは 2chの掲示板なんかの誰かによって書き込まれたURLを辿っていく事が多いんだ。
その日の僕も たしか そうだった。
悪意のある他者による誘導とも知らずにね‥
まあ それはともかく リンクを踏むと まず関係のないバナー広告が いっぱい貼られたページに飛び、そこから またリンク・クリックで本来の目的地であるHPに飛ぶんだけど、そのとき 僕の目に飛びこんできたのは 全面まっ黒のページだった。
別にコンテンツ・メニューがあるわけでもないし、最初 誰かがイタズラ目的で こんなページを作ったのかなって思ったので、すぐにタブを閉じようとしたんだけど‥
マウスカーソルをタブの×印の上に持っていった瞬間、ブラウザごと固まってしまったんだ
このとき僕は得体のしれない不気味な雰囲気を感じ取った。
いつの間にか部屋の空気がおかしい。
まだ9月初旬で 暑さは一向にましにならないというのに この部屋は残酷なまでに寒気が するんだ
そして 視線‥、誰かに見られている、しかも 今までに感じたことのないほどに強い眼力‥邪眼というべきであろうか
昔から、邪眼は 忌み嫌われ その眼で見られた者は命を落とすという
また幸運にも生き残ることが出来たとしても、交通事故に遭ったり 心臓発作になったり 悲惨な運命を辿るそうだ
話を元にもどし、その後 まるで部屋全体が深い霧に包まれているかのように、視界が曇り あちら こちらの方向から「どーん」 「どーん」という太鼓の響が部屋の空気を振動させはじめた
僕は耳を澄まして その音源は どこなのかと意識を尖らせていたんだけど、いくら思考を周巡させたところで、結局答えは分からずじまいだった
そのうち部屋のなかに獣の死臭のような匂いが立ち込めはじめ、そのあまりにも強烈な匂いに、恐ろしいほどの吐き気を覚えた
さすがに僕は これはどうにかしないと
(殺られるな)と思い、昔読んだ「グリモワール」の結界術を試みた
というのも、いま僕が体感している超常的な事象は、長年経験と修養を積み重ねた高位の魔術師が、儀式の手順を間違えて、空間の磁場を汚がしてしまったときに起こる(ソレ)と非常に よく似ていたからだ。
僕はまず部屋の中央に立ち 右手で手刀を作り頭上に振りあげ「アテー」
その手を胸上に下ろし「マルクトー」と叫び、裏聖書の第144編の1節を読みあげたんだ
すると、今まで部屋に立ちこめていた異臭が 立ちどころに消え、眼前を覆っていた深い霧状のエクトプラズムさえも拡散していき、最後には何ごともなかったかのように消えたんだ
でも、ブラウザは固まったまま。
こりゃあ タスクマネージャーで プロセスを終了させるしかないな‥って思って、タスクマネージャーを開きました、firefox終了出来ました、よかった(ほっ)
でも そんな安堵も束の間、怪異現象は それだけに留まらなかったんだ
何が起きたかというと、ローカルディスクのプログラム・フォルダのなかに いつの間にか 僕の知らないフォルダが入っている
フォルダ名は「megazal」